『読書感想文』 荻上チキ  検証 東日本大震災の流言・デマ

検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書)を読みました。積ん読がたまっているけど時期的に今読まなくていつ読むと思って。

  • 序章 なぜ、今、流言研究か
  • 1章 注意喚起として広まる流言・デマ
  • 2章 救援を促すための流言・デマ
  • 3章 救援を誇張する流言・デマ
  • 4章 流言・デマの悪影響を最小化するために

過去の状況と違って、Twitterという個人が情報をさらに発信、拡散させることが可能になった時代に起きた東日本大震災。
そこで発生した、流言・デマについての検証とその対策をコンパクトにまとめた新書です。まさに今読むべき本の一つ。

大災害時には必ず流言・デマが発生するがそれを如何にして流言やデマによる悪影響を最小化するが、災害時の重要な課題になると指摘。これは大部分の人がその様に思っていると思います。今回のような大災害時のデマ・流言は二次災害を生む。直接的な暴力を発生させるだけでなく、究明のための機会損失を生じると本書は指摘。そのために流言・デマによる悪影響を最小化することが重要と。

流言・デマ対策となると「個人の情報リテラシー」の話に落ち着くが、今回のような災害発生後の短時間でみんなのリテラシーを上げることは無理なので、流言・デマについて過去の事例を知っておくこととにより、デマのパターンを知っておく事が重要なことと、その情報の元を当たること、行政、メディア、専門家、NGOなどが自分たちの情報不足により流言・デマが発生しているとの意識を持ち、常に正しい情報発信をすることが重要と指摘。

とは言っても、初期の混乱状態ではそれも期待できないので、「内在的チェック」と「外在的チェック」のダブルチェックが必要。「内在的チェック」とは、受け取った情報の内容的な矛盾や妥当性を判断すること。「外在的チェック」は、それが確かだという証拠を探そうとすること。

「内在的チェック」に役に立つ条件としては、インサイダーからの密告になっているような情報(例えば、○○につとめている友人からの情報など)、「拡散希望」や「みんなに教えて」などの無理矢理情報を広めようとしていること、情報には、いったん流言・デマの可能性を考えることを本書で提言。

「外在的チェック」に役に立つ条件としては、ソースの有無の確認、ソース先の情報の確からしさの確認、ツイッターの「グーグルリアルタイム検索」を活用した検索を提言。

よくよく、ネット上で言われていることなのではあるけど、これを実践できない人が結構多いので、自戒の意味も込めて。

さらに付け加えると、専門家の情報でも、その分野では専門家であっても、他の分野では専門外なので、専門外の分野で間違った情報を出していることもあるので注意と。
良識的な人は、専門外のことにはコメントしないか、きちんと断ってコメントしているけど、その様なことをしない人が多いのが残念な現実。具体例を挙げると池田信夫とかかな(そいつの専門分野は何と突っこまれても困るがwwww)

情報ボランティアたちの災害カーニバル

災害直後の高揚した日本の状態を災害カーニバルとでも言う祭りの状態にあったと指摘。ああ、確かにそんな状態だったなと。自分もそんな感じだったなと。
これは、アメリカ、サンフランシスコ在住の作家、レベッカ・ソルニットの著作、「災害ユートピア」からもじった造語ですが、非常に的確な言葉だなと。
如何に有意義な情報を発信し合うか、誰よりも早く大事な視点を提供するか、と言う見えない競争が行われている雰囲気があったと指摘。あったね、そういう雰囲気。その状態で、Twitter有名人に拡散希望のリプライを飛ばして情報拡散が行われたりしたこと。その中で流言・デマが広がっていった事例の指摘も興味深く。

スピンコントロール

今回の一連の流言・デマではスピンコントロール(情報操作)を狙ったモノもいくつかありました。その一例として本書で揚げているのが、プロ野球・セリーグの公式戦を予定通りに行うかの一連の騒動。
節電のために延期すべきと言う世論と、それに反対して公式戦を予定通り開催することを狙ったジャイアンツの対立があったのですが、そのときに親会社の読売新聞が出したデータが、「東京電力管内の主な産業や施設などの電力消費量」という図。
これは、電力消費量が
自動車・電気産業>>化学産業>鉄鋼産業≒鉄道産業>食品産業>>パチンコ産業≒自動販売機>>東京ディズニーランド>>>>東京ドーム プロ野球一試合分
と言う図。これを元に、「プロ野球をたたく前に他にたたくところがあるだろう」というスピンコントロールを行った訳なのですが、それに乗せられた人が多数いたこと。おまけに、ネットでこの資料が広まる過程において、パチンコ産業から始まるデータに書き換えられたと。
「マスコミ嫌いを辞任している人が、マスコミ情報を鵜呑みにして、マスコミがするような情報加工を行っている」と皮肉っているw
挙げ句の果てに、残念な人である猪瀬直樹から吹き込まれたのか知らないが、非常に残念な人である石原慎太郎まで批判を始めるという。
見事に読売新聞のスピンコントロールは成功したわけです。
最後のオチは、読売新聞がこのパチンコ・自販機叩きの問題を記事にしたということですね(´_`。)

政敵を攻撃するためのデマ・自分を売り込むためのデマ

政敵を攻撃するためのデマというのも興味深く。
例を挙げると
・仙谷由人前官房長官が地元徳島で震災を「ラッキー」と発言した (裏付け無し、発言した時間は官邸にいた)
・鳩山前首相が九州での講演会で「原発から半径200km以内は住めない」と発言した (発言した日には北海道にいた)
・蓮舫大臣が「コンビニの深夜営業禁止」を提案した (提案したのは石原慎太郎東京都知事)
・辻元清美が自衛隊や米軍に抗議 (これらの一連のtweetは、辻本と名前が間違っている、辻本大臣と職名が間違っている)
などなど。
蓮舫大臣に関連しては、事業仕分けのスーパー堤防についての批判もあったけど、スーパー堤防は元々が河川の洪水対策のモノで津波対策ではない、仕分けの時に議論されたのは、完成に数百年も掛かるという計画の妥当性だったとも指摘。後者の指摘は解っていたけど、前者の指摘も言われてみたらその通りだなと。

他、この本では触れられていませんが、ネット著名人が自分を売り込むために流言・デマを流したり、自分の敵を攻撃するために流言・デマ(スピンコントロール)を流した人も多数いましたね。フリージャーナリストの誰かさんとか、○○○のブログで有名な○○○さんとか。そんな情報に対しても注意が必要ですね。

まとめ

本書に書かれている内容は、ネット上を丹念に探せばどこかで触れられている情報が多いのですが、その探す手間などを考えると、一冊の本にコンパクトにまとまってあるというのは非常に有益で、この書評には書いていない情報も多数書かれているので、みんなに読んで欲しいなと思った。777円だし、一気に読んだら二〜三時間で読めちゃう分量だし。
コンパクトに情報がまとまっている、短時間で情報を取得できる、ここが書籍の強みだよな。

『読書感想文』 保阪正康 昭和史 七つの謎

昭和史 七つの謎 (講談社文庫)を読みました。

  • まえがき
  • 第1話 日本の<文化大革命>は、なぜ起きたか?
  • 第2話 真珠湾奇襲攻撃で、なぜ上陸作戦を行わなかったか?
  • 第3話 戦前・戦時下の日本のスパイ合戦は、どのような内容だったのか?
  • 第4話 <東日本社会主義人民共和国>は、誕生しえたか?
  • 第5話 なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になったか?
  • 第6話 占領下で日本にはなぜ反GHQ地下運動はなかったか?
  • 第7話 M資金とは何をさし、それはどのような戦後の闇を次いでいるのか?
  • 番外編 昭和天皇の「謎」
  • あとがき
  • 文庫版あとがき

この本、だいぶ前に読んだんだけど、そのときは各章を拾い読みしただけだったので、改めて通して読み直してみたと言うわけです。
この本は、歴史のifを考える頭脳訓練の本だと思って読むのがよいですね。
素朴な疑問ではあるが、考えると結構深い指摘であるので考えさせられるなと。

第1章の日本の文化大革命は、昭和8年の五・一五事件を契機に日本人の思想が国家主義的に変わっていき不明な精神論の世界に陥っていったこと。これは読んでいてなるほどと思ったところですね。
また、第2章での指摘も、奥にあるテーマは日本政府(日本軍部)はいったいどの状態を持って日本の勝利と考えていたのかと言うことですね。

他第4章のソ連占領による日本が分裂国家になっていた可能性。
第5章のなぜ陸軍の軍人、しかも軍政側の人間だけが絞首刑になったかの疑問、開戦への流れを見ていくと、陸軍軍令側(参謀本部)が強硬に主張していたのに絞首刑無し、海軍の側も石油封鎖で「今やらないでいつやる」状態になっていたのに、海軍側から絞首刑無し。この疑問も疑問。
第7章のM資金も終戦時に軍の物資を私物化したと言う事実があるからこの手の話が残っていると。。。

極めつけは、番外編の天皇論ですかね。

内容的に私はおおむね納得できるのですが、民族派保守主義者とか、Willなんかに連載や論文を掲載している人たち、それらから影響を受けた人たちには偏った内容ととらえられるかもしれないですね。もちろん、左巻き側の人からもですが。

歴史に興味があるなら、古本でもかって、興味がある部分だけパラパラ読んでみるのも良いかもですね。

『旅行』 むくりと京都に行ってきた 金閣寺・龍安寺・仁和寺

なんとな〜くな気分で、お昼頃から京都に行ってきた。
行く先は金閣寺、龍安寺、仁和寺に。

新大阪〜京都〜金閣寺

金閣寺へのアクセスを調べたところのどれが一番早いのか、お得なのか分からなかった(´_`。)
JR東海道線で京都まで行って、京都駅からバスが確実なのかなと言う結論になったので、そういう方法で行くことにした。

で、最寄りJR駅である新大阪駅に行ったらですね、在来線の方まで工事の波が及んできて入り口が微妙に変わっていたし、自動改札機もリニューアルされていた。
途中の車窓をみていると、吹田操車場跡地で激しく工事が行われていた。貨物駅の工事と、おおさか東線の西吹田駅の工事かな?
摂津富田〜高槻間にある明治製菓の工場の外壁がチョコレートになっていて驚いたり、高槻駅周辺が変わっていて驚いたり。
18きっぷで旅行しているときは、京都までは新聞読んでいたりだの寝ていたりだので、車窓みていないから気がつかなかったなぁ。

と言ううちに、京都到着
京都からバスだけど、事前情報だと101系統バスだったけど、バス停に行ったら金閣寺方面というバス停があったのでそこからバスに乗る。乗る前に、一日乗車券の自動販売機を見つけたのでそれを購入。1枚当たり500円。京都市バスは1乗車220円だったので、買った後に元は取れるなとw

で乗ったバス、運転手の運転が下手で揺れるは急ブレーキが掛かるは、ギアチェンジの度にギギギと音がするしで(´_`。)
それにしても、日射しが真夏並みで厳しい(>_<)

それと、今回の失敗は、改札入った後にデジカメを忘れたことに気がつくなど。IS03のカメラで頑張ることにした。IS03だとあまり画質良くないんだよね。。。

金閣寺

バスでだいたい40〜50分で到着。京都駅から結構遠いのね〜。



金閣寺ニャ!
紬>「金閣寺ってな〜昭和25年に燃やされてもうて今あるんは新しく建てられたもんなんやって〜 ほんまは鹿苑寺(ろくおんじ)て言うやって」

入場券は御札だったりする。
パンフレットを見て、英語表記だと”THE GOLDEN PAVILION”か。平等院鳳凰堂の時も思ったけど、そのまま”KINKAKU-JI TEMPLE”で良いと思うんだがな。


本当に金箔がまぶしくて、金色にひかっているよ。
IS03で撮影したときはよく分からなかったけど、自宅に戻ってPCに取り込んでみたら、池に金閣寺が映り込んでいたので素人の割にはそこそこ良く撮影できているんじゃないかな。
池がもっと綺麗で澄んでいたらもっと綺麗にだったのになと。


アップしてみた。
これ、後の方にも回ってみることができるんだけど、てっぺんの鳥から避雷針が降りているんだね。一度燃えてるからそれの防止策だね。

その後は境内を探索。茶室などをみた後、休憩所でソフトクリームを食べて休憩。
自動販売機でドデカミンのペットボトルがあるが、どこも品切れだったという。

金閣寺前にあるお土産屋さんでなぜかひこにゃん人形が売っていた。欲しいアイテムではあったが、本物か不明で、やっぱり彦根で買うべきと思ったので、スルーパス。

竜安寺

次は竜安寺へ。金閣寺からは出てすぐの所にあるバス停から行くのがGOOD。
ああ、立命館大学って、この辺にあるのかと。




きっと有名だろうと思われる龍安寺の石庭。


つくばい。IS03だとズームが弱いからな。デジカメを忘れたことが悔やまれる。

でかい池の周りなどをブラブラして景色を楽しむ。これ、紅葉の時期だと良さそうね。

仁和寺

龍安寺から仁和寺が近そうなので、徒歩で向かうことに。徒歩10分とのことだったが結構な距離を歩いたような。
行く道に観光客らしい人はいないし、歩いている人も少ないので、かなり不安になるなどしつつ、到着する。


仁和寺。東口から入る。
仁和寺の和尚って徒然草だったっけ。。。。

案内図を見て、思った。とにかく広いと(°□°;)
門跡寺院なので、明治五も土地を失わずに済んだのかな。


仁王門。正面から見ると、仁王像がいるんですよ。


御殿から見た南庭。写っているのは勅使門。庭から見るとなかなか良い風景。これが通路側からみると今ひとつなのが不思議。
写真は撮っていないけど、ここから五重塔の上2層分がみえるんだよね。

御殿をウロウロするが、広くて広くて驚き。


五重塔。


国宝の金堂。


経蔵。

仁和寺をウロウロしていたらちょうど16時40分くらいになったので、ちょうど良いので切り上げ。

仁和寺〜京都〜新大阪

仁和寺からバスで京都駅へ。凄い細い道を通っていくなと驚き。

京都駅の伊勢丹11階レストラン街で夕食。暑かったので、ざるそばを食べたけど、今ひとつだったなぁ。冷やしパスタにしたら良かったかな(´_`。)
10階のラーメンコーナーで佐世保バーバー売っていた。これって、佐世保で食べたお店だな。
ここのラーメンコーナーのお店でも食べてみたいのだなと。

おなかも満足?したところで、帰宅と

今回の反省

デジカメ忘れたのがダメだったな。IS03だと画質も今ひとつな感じがするし、素早く撮影ができない(;つД`)

雑感

修学旅行の人たちが沢山いた。
また、外国人旅行客もぽつぽついたけど、個人旅行グループだったなぁ。団体旅行客はまだ復活はしていないみたいだなぁ。

『読書感想文』 山本七平 一下級将校の見た帝国陸軍

一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)を読みました。

  • ”大に事える主義”
  • すべて欠、欠、欠・・・。
  • 誰も知らぬ対米戦闘法
  • 地獄の輸送船生活
  • 石の雨と花の雨と
  • 現地を知らぬ帝国陸軍
  • 死の行進について
  • みずからを片付けた日本軍
  • 一つ、軍人は員数を尊ぶべし
  • 私物命令・気魄という名の演技
  • 「オンリ・ペッペル・ナット・マネー」
  • 参謀のシナリオと演技の跡
  • 最後の戦闘に残る悔い
  • 死のリフレイン
  • 組織と自殺
  • still live,スティルリブ、スティルリブ・・・
  • 配線の瞬間、戦争責任から出家遁世した閣下たち
  • 言葉と秩序と暴力
  • 統帥権・戦費・実力者
  • 組織の名誉と信義
  • あとがき

徴兵後に陸軍予備士官学校に入り、砲兵士官(少尉)として、フィリピン戦に従軍した筆者による帝国陸軍論です。実際の軍隊体験者による書ということもあり、軍隊未体験者による研究とはまた違った視点からの指摘について、なるほどと思わせるところがありました。
本を買ったのは昨年末だったけど、この本を読んだのは震災後。それだけに戦前から続く日本的問題について考えされられることが多々ありました。

まず驚いたエピソードが、豊橋の予備士官学校で昭和18年8月頃に「ア号教育」というのを発令されたということ。それまでの訓練は一貫してソビエトを仮想敵国として訓練していたモノだったが、この日を境にして対米戦の訓練に転換することになったが、教育担当指揮官がアメリカ軍と戦闘するのに必要な知識、情報が無かったと言う点。これに対して筆者は、対米戦を強硬に主張した帝国陸軍にアメリカと闘うつもりは全くなかったのではと指摘。

そういえば、堀栄三の大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)(これも名著)にも、自分が配属されるまで対米情報将校がいなかった旨を書いてあったなと。

ほか、いくつか自分がハッとした指摘をあげていきます。

現地を知らない帝国陸軍。これは至る所で語り尽くされているので、もう十分という人もいるかもしれないけど、それでも書く。
大本営の方針では、南方派遣軍は現地で自活だった。現地は農業国なので、米の3毛作できると。しかしその農業国の実態はプランテーション。筆者が派遣されたフィリピン島では単一作物を大量生産し、それを工業製品材料として輸出することで生計を立てていた。フィリピン島では年に300万石の米を輸入していた。それが農業国の実態。そんなところで作物転換して米を作るのは不可能だった。現地から徴発するにしても、農地住民は自分たちが食べる分しか生産しておらず、都市部は輸入に頼っていた。この実態を全く把握していなかった。

知識人の戦跡巡りへの批判もあった。タクシーで1時間の行程だが、それをタクシーで回って説明を聴いただけで解ったつもりになり批判記事を書くと。実際に戦跡を体験するためには、一人あたり30キロの荷物を持ちタクシーで1時間で済む行程を10日かかって歩かないと体験したことにはならないと。

ここから本質的な問題の指摘に。
帝国陸軍を支配した「員数主義」。隠れた軍人勅語に、「一つ、軍人は員数を尊ぶべし」と言うのがあったそうだ。その意味するところは、数さえあっていれば中身はどうでも良いという形式主義。つまり書類上では存在していることになっているモノが、実際に存在していないか、存在していても書類上とは乖離していると。参謀本部の参謀はその形式主義で整った書類上のデータで作戦を立てているので、現地に行けば武器が存在すると兵隊を派遣するが、その兵たちの武器が存在することがあったなど。
この「員数主義」は現在も残っている日本的組織の宿痾ですね。わかりやすい例でいうと、原発の安全神話。原発は安全なモノなので、何年経っても新品同様といったことがつい最近までまかり通っていたと言うことと同じですね。
この部分を読んだとき、ドキリとしましたよ。

「私物命令」という不思議な命令の存在。正規の命令発令者が知らないのに、正式な命令として時には口達で、時には正規の文章で来る命令。この場合、「私物命令」を出した人物は一切の責任を問われない。いわゆる参謀統帥と言われたモノで、これをよく使った人物として辻政信がいますな。

そして統帥権。これも読んで驚いたのだけど、福沢諭吉などの民権派も統帥権の独立を主張していたと。その真意は、明治政府(軍閥・軍事的政権)が軍事力で政治運動を弾圧する事への懸念があった。その対抗策として、軍隊は天皇直属として、天皇と軍は政争から局外中立であるとして、軍事力による弾圧を防ごうとしたと。しかし、当時としては時代に合った考え方であったモノが、昭和の時代になると全く逆作用に働いてしまったと。日本は、天皇を共同君主として
日本一般人国と日本軍人国の2カ国が併存する形で存在していて、日本軍人国が日本一般人国を占領したのが昭和時代だと。
その理由としては議会対策。
議会が予算の決定権を持っていたため(予算を法案として可決しないと執行出来ない)、日華事変の厭戦気分から臨時軍事費を国会で否決されることを軍部は恐れていたと。仮にそのような事態になってクーデターを起こしたとしても、2・26事件の体験から天皇が軍部側に立つことは無いのが解っていた。そのため議会工作をして翼賛体制を構築したのだと。
なるほどと唸りました。確かに議会で予算を止められたら軍事行動の裏付けとなるお金が無くなるから無理だなと。

とまぁ、このように色々と考えさせられる指摘が多すぎ。

全国民が読んでも良いくらいお薦めかと。

『デジタルガジェット』 サンワサプライ USB出力付モバイルバッテリー充電器 BTN-DC2W

SANWA SUPPLY USB出力付ポータブルバッテリー電源(ホワイト) BTN-DC2Wを買いましたので、そのレポートを。

買ったきっかけは、ImpressのケータイWatchの記事。すでに日本トラストテクノロジー 外付バッテリー Energizer XP8000 XP8000を持っていてこれがメインで活躍していることもあり、また単3電池(eneloop)を使うKBC-E1も持っているので、これ以上必要ないとは思ったのですが、
・充電に出力A数が高い機器を2台同時に充電したくなるときが或る
・KBC-E1だと、iPodと携帯電話しか充電できない。IS03は20%程度しか充電できない
と言うことがアリ若干困っていたのです。
そんなときこの記事を見て、1A出力なのでiPadもいけるし、単3電池4本を使うなら、IS03やモバイルルータのDWR-PGもいけるのではと思って購入しました。

で、注文した時期が4月6日と震災直後であり、どこでも売り切れだったので、直販のサンワダイレクトで購入しました。納品まで1ヶ月かかったのですが。。

で、早速使ってみました。

IS03を充電してみた

めんどくさいのでどんなUSBケーブルでも充電可能かまでは検証していません。使ったUSBケーブルはデータ接続、充電切り替え可能なPLANEX Xperia 充電&データ転送 MicroUSBケーブル ブラック (ACアダプタ/パソコン接続切替スイッチ付)BN-XPERIASBです。これ、値段がちょっと高いですが、確実に充電できるので愛用しています。
IS03のバッテリーが切れて電源が落ちた状態から充電開始。使ったeneloop乾電池は王冠マーク付き、勝ったままの状態で放置していたのを使用。
結果は、100%まで充電できました。この間、IS03は電源入れっぱなし。
これは凄いぞ!

モバイルルータDWR-PGを充電してみた

こいつも、しばらく放置してバッテリー残量が3%になった時点で本体の電源をOFFにして充電開始。使ったeneloop乾電池は王冠マーク付きで、再充電したやつです。
結果は63%まで充電できた。なかなかやる。
DWR-PGの充電で気になったのは、過放電防止回路でもついているのか、充電器のLEDがずっと点灯したままだったこと。1回電源をOFFにしてから、再度ONにしたところ、LEDは光らなかった。電池が空になったときが解らないのはちょっと困るかなと。

不満点

不満点は、上記で書いたほかに、電池蓋が扱いにくいこと。最初、ふたを閉めるときにとまどいました。なんかすぐ壊れそうな感じ。

総合的に

買いじゃ無いかな。値段も安いし、乾電池でかなりのモバイル機器を充電できるのは大きなメリット。

『読書感想文』 朝日新聞取材班 証拠改竄 特捜検事の犯罪

証拠改竄 特捜検事の犯罪を読みました。

  • まえがき
  • プロローグ
  • 第1章 大坪特捜の攻勢 −大阪地検特捜部の光栄
  • 第2章 冤罪法廷 −検察ストーリーの犠牲者・村木厚子
  • 第3章 スクープ −検事の犯罪に迫る
  • 第4章 最高検捜査 −特捜検事 vs 特捜検事
  • 第5章 検事たちの弁明 −真相解明は法廷へ
  • 第6章 記者たちの独白 −スクープの裏側で
  • 終章 再生 −検察は生まれ変われるのか
  • あとがき

検察ストーリーの矛盾で、ほぼ無罪が確定していた郵便不正事件のトドメを刺した、朝日新聞による証拠フロッピーディスク改竄事件。これを取材した記者たちによるノンフィクションです。
この件の調査取材をするに当たって、記者たちは逮捕されることを覚悟した。頭にあったのは、三井環事件。内容が漏れれば不祥事を隠蔽するために記者たちが逮捕される可能性もあると言うことで、少数の記者たちによる調査報道。その様子が記されています。

ちょうどこの時期、いわゆる「検察リーク」報道への批判があふれており、足利事件や志布志事件などの冤罪報道もあり、新聞社としても予想される批判に対して何らかの対策を行わなくてはならない状況にあり、その一環として村木裁判での検察捜査について矛盾点やずさんな点について洗い出しを行うことに。
その過程で手に入れたのはFDに保存されたファイルの日付情報を改竄したという内部情報。
それを元にどのように裏付けを行っていたかが本書で明らかにされます。

そして、前田検事逮捕後の状況が本書に記載されています。

個人的に1点問題にしたいのは、社内検証について。無罪判決になるだろう事を受けて、報道に批判が行われることを予想して逮捕当時の報道内容を検証するという部分があるが、そこを読んでみてもどう考えてもぬるいとしか思えないところ。
そして、本件で問題を起こした前田検事、国井検事が過去に携わった事件についても検証しなくても良いのかと言うことです。
この部分が不十分なのではないかと強く思うのです。このような強引な捜査が行われたのは本件だけではないのでは、他にもあるのではないか、その様な強引な捜査を行わせる組織的問題は無かったのかと言うところまで突っこんで欲しいところなのですが、この件について深く突っこみすぎると、メディアとして矛盾に陥るだろうから出来ないんだろうなと。。。そこが非常に残念なところ。

『読書感想文』 中村建治 日本初の私鉄「日本鉄道」の野望 東北線誕生物語

日本初の私鉄「日本鉄道」の野望―東北線誕生物語 (交通新聞社新書)を読みました。

  • はじめに
  • 第1章 26時間で東京~青森間を結ぶ、初の私鉄が9年余で完成
  • 第2章 日本初の鉄道会社が誕生し、岩倉具視が「日本鉄道」と命名
  • 第3章 東京起点は逆転で「上野」に、攻防を経て「山手線」を開業
  • 第4章 東北方面の分岐は「大宮」に、仙台では厳寒深夜の開業式
  • 第5章 海岸路線に軍部が横やり、3日間にわたり全通式典
  • 第6章 山手・磐城・日光銭湯も建設、国有化され25年の経営に幕
  • あとがき

東北本線は、今年2011年9月1日で開通120年になるそうです。
国が作った東海道線とは違って、東北本線は私鉄だったということは知っていたのですが、その建設前から完成に至る経緯をノンフィクションベースの小説という形で書かれています。

これを読んで知ったことが多数ありましたね。日本鉄道の会社設立には岩倉具視が関わっていたこと、士族の経済的安定を図るために、会社設立をしたこと(士族が株主として出資して、配当金を受け取ることで経済的安定を狙う)など。
当時の政府が東京~京都間の鉄道ルートを今の東海道経由にするか、中山道経由にするか決めかねていたので、中山道ルートに決まった場合、そちらにも対応出来るように計画を練っていたというのもこの本を読んで知りましたよ。

それに、各駅の設置場所。鉄道の性質から、なるべく平坦なルートを通ってなおかつ、人が多いところに線路を引いて駅を設置したいけれども、鉄道忌避の考えから辺鄙なところに駅を作らざるを得なくなって、不便になってしまったとか、町が衰退してしまったとか。不便になった例でいうと、二戸駅、森岡駅がそれにあたり、町が衰退した例は江刺がそれに当たると。
逆に、仙台駅は地元の商人が熱心に誘致活動をしたので現在の場所に駅が出来たりとか。元々の予定では、宮城野貨物駅の所に駅を作る予定だったとか。
仙台から利府に盲腸線の利府支線があるけど、元々はこちらの方を通るルートが東北本線だったのが、急勾配のため、それを緩和する工事が戦時下に行われて、その後、旧線が廃止されるけど、利府までは仙台のベッドタウンになっていたため残ったのだとか。へ~、そうなんだと言うことが色々書いてある。

最後に触れておくと、終点の青森駅をどこにするかは色々論争があって(これは青森市が作成した青森市の歴史にも書かれている)、日本鉄道の株主が候補地の土地を買収していたり、当時の青森桟橋近辺も同じ思惑で買収されて地価が高騰していたため、今の安方町(当時は辺鄙なところ)に駅が決まったと。

まとめると、東北線に関する雑学系の本ということになるので、鉄分が多い人には物足りなく感じるかもしれません。が、鉄分が無い人にも安心してお薦めできる1冊です。

今年は震災もあったことだし、9月1日に上野~青森間で特急はつかりのリバイバル運転でも行われるんじゃ無いかなと予測。震災が無くても行われた可能性は高いですが^^;

『読書感想文』 和田竜 のぼうの城

のぼうの城 上 (小学館文庫)
のぼうの城 下 (小学館文庫)
を読みました。

目次は特にないんですよね。。。。

で、読んだ感想ですが、一気に読める内容ではあるので、どんな層の人でも苦労すること無く読めるのでは無いかと。話の全体に流れるのは、板東武者の意地かな。おもしろいことはおもしろいのですが、史実に乗っ取っていない部分がありますから、そこは頭に入れておいた方が良いですね。それと、全体的にあっさり味な作風かな。司馬遼太郎や宮城谷昌光みたいなくどさがない分、歴史小説の入門書としては良いかもしれないですね。

この本では、石田三成が羽柴秀吉の備中高松城の水攻めを強く印象に残っていたのと、石田三成の正義感的な性格の強さから、敵と戦うことを強く求めて(その前の館林城は戦をすること無く降伏)内通している忍城を無理矢理開戦に持っていくようにして、そして水攻めと言ったストーリーで書かれています。
水攻めは石田三成の意地からと言うのが通説みたいになっていますが、最近の研究成果だと秀吉からの命令であって、石田三成自体はその方針に反対であったのが真相のようです。
小説ではこの後に石田三成が有名な島左近を配下にするという流れになっていますが、私の記憶が間違ってなければ、この時点で島左近は石田三成配下になっていたんですよね。

とまぁ、小説の感想より石田三成の話になってしまったのですが、日本の文化というか、精神構造的に、武功を高く評価する傾向があって、兵站など後方業務をあまり評価しない傾向がありますよね。それも石田三成の評価の悪さの一因になっているところがありますね。戦国時代当時の戦い、特に秀吉の指揮したような大規模な戦いを維持するためには兵站業務が勝敗の鍵を握っていたし、近代戦においては兵站で勝敗が決まると言っても過言では無いのですが、そこを軽視した風潮が第二次大戦の敗因でもあったかと思いますね。
ギリギリで勝った日露戦争そのものも、兵站という面では散々だったですしの。

『マンガ感想文』 紺條 夏生 妄想少女オタク系1~7巻

妄想少女オタク系 1 (アクションコミックス)
妄想少女オタク系 2 (アクションコミックス)
妄想少女オタク系 3 (アクションコミックス)
妄想少女オタク系 4 (アクションコミックス)
妄想少女オタク系 5 (アクションコミックス)
妄想少女オタク系6(アクションコミックス)
妄想少女オタク系(7) (アクションコミックス(コミックハイ!))
を読みました。

もともとは、BookLiveの開店キャンペーンで第1巻無料公開されていたモノの1冊。
その当時のAndroid版Readerは腐っていて、全く使い物にならない状態(書籍データを内蔵メモリに保存するため)だったので、放置していたんだけども、何度かのバージョンアップを経て、書籍データをSDカードに保存できるようになった後、読んでみた。
ま、Readerソフトバージョンアップ後に、SDカードに保存できるようになるまでにかなり苦労したんですがね。本当に、ちゃんと検証してソフト作ってるのかよと。。。。なので、ここから本を買う気は起きないんだよな。

で、読んでみたら良い感じにおもしろかったので、残りの6冊は紙の書籍で購入。第1巻も買っても良かったんだけど、いつでも手に入るしよいかなと。ただ、解ったことは、電子書籍よりも紙の書籍の方が手に届く範囲においてあった場合読む頻度が高いってことだね。あと、IS03だと、画面サイズが小さいので、タブレット端末が欲しくなってしまった。中古でGalaxy Tabでも買おうかなと思案中。角川グループのBOOK WALKERはまだサービス的に使えそうだしね。

話がそれてしまったので、全巻読んでみた感想。
良い感じに腐ってますねw
腐りかけが美味しいとは言うけど、腐ってしまったらどうなるのだろうか。食中毒になって死んじゃうか(°□°;)
いや、正直な感想として、おもしろかった。おもしろかった。
話的には、恋愛スキル0同士のラブコメ。主人公のベクトルがちょっとずれてるって言う点ではB型H系にも通じる者があるかな。
主人公の婦女子浅井は自分に告白してくれた阿部に対しての恋心を脳内変換して違う方向(腐った世界)にベクトルを向けて、それがために自分の気持ちになかなか気がつかず、それに対して阿部は振り回されっぱなしなお話。
最後には落ち着くところに落ち着くのではあるが、そこに行くまでがおもしろくてと言うか、ツボにはまった!

毎回のタイトルと、話の中に埋め込んであるネタにニヤニヤするも、分からないネタ大杉でかなり困った(´_`。)
このネタがすべて解ったらもっとおもしろいのかもしれないが。

『読書感想文』 近藤正高 新幹線と日本の半世紀

新幹線と日本の半世紀―1億人の新幹線‐文化の視点からその歴史を読む (交通新聞社新書)を読みました。

  • はじめに
  • 序章 ドキュメント・女王陛下の新幹線
  • 第1章 新幹線のルーツを求めて
  • 第2章 情報社会の到来を告げた新幹線
  • 第3章 岐路に立つ新幹線
  • 第4章 「シンデレラ・エクスプレス」の時代
  • 終章 21世紀の新幹線
  • おわりに

新幹線について浅く広く書かれた本です。東海道新幹線建設については、戦前の弾丸列車計画からの関係からもっと詳しく書かれた本がありますので、これを読んでさらに興味が出た人はその手の本を読むのがよいかと。その本も持っていたんだけど、本の置き場が無くて古本屋に売っちゃったんだよね。

戦前の弾丸列車計画と東海道新幹線がどのくらいにているかは、本書にも書かれています。目標最高速度、設置駅。その他、戦前に強制的に用地確保をしていたり、新丹那トンネル、日本坂トンネルの建設など。本書に書かれてはいないけど、豆知識としては、新大阪駅は弾丸列車計画では東淀川駅に併設して建設される計画だったけど、東海道新幹線計画では、戦前に確保した新大阪〜下関の土地を売却せざるをえなくなっていたため、西への延伸を考えたときに用地確保をしやすいように宮原操車場に新大阪駅を設置したと。

東海道新幹線完成から、山陽新幹線延長、東北上越新幹線開業、整備新幹線と歴史的順番で記述されていること、東海道新幹線開業による文化的影響、DISCOVER JAPAN、シンデレラ・エクスプレスなどのコマーシャル、キャンペーンなど、広く浅く記述してあるので、幅広く知るにはお薦めかと。