『読書感想文』 小牟田哲彦/鉄道と国家 「我田引鉄」の近代史

鉄道と国家─「我田引鉄」の近現代史 (講談社現代新書)を読みました。

鉄道と国家─「我田引鉄」の近現代史 (講談社現代新書) 鉄道と国家─「我田引鉄」の近現代史 (講談社現代新書)
小牟田 哲彦

講談社 2012-04-18
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  • まえがき
  • 第一章 鉄道は国家百年の大計
  • 第二章 日本の鉄道を作った政治家たち
  • 第三章 「我田引鉄」で生まれた鉄道
  • 第四章 政治が生み出す停車場
  • 第五章 鉄道存亡を左右する政治力
  • 第六章 海外への鉄道進出

鉄道敷設と政治は切っても切れない関係。
それはいま現在でも通じる話。
そんなエピソードをまとめた1冊。

色々と興味深い内容でしたが、その中からいくつかピックアップすると、
・佐藤栄作と東海道新幹線
東海道新幹線というと、当時の国鉄総裁の十河新二と技師長の島秀雄の両名の話になるのですが、佐藤栄作もじつはキーパーソンなんだよと。
佐藤栄作は、官僚としては鉄道政策にずっと携わってきて、運輸次官から政治家に転身。大蔵大臣の時に東海道新幹線計画に携わったが、その時に、時の政権による影響を排除するために(政策変更で予算が付かなくなるなど)、世界銀行の融資実現に積極的に関わったと。
東海道新幹線実現のために世界銀行の融資を利用したと言う話はよく知られる話ではあるけど、佐藤栄作という政治家の関わりという面はあまり知られていないのではないかなと。

・大船渡線
「我田引鉄」といえば大船渡線。
我田引鉄や鉄道忌避説のなかには、当時の鉄道技術からそのルートにせざるを得なかった事情があったのに、いつの間にか我田引鉄の話にすり替わったり、鉄道忌避説にすり替わった例が多いらしいのですが、大船渡線はガチで我田引鉄。

・中央線、大八回り
中央線の岡谷~塩尻かんは、辰野経由の通称「大八回り」と、短絡線の2線あるけど、本来は短絡線のルートになるところを辰野回りに「我田引鉄」下という話。
こちらの話はどうも都市伝説らしく、中央線を敷設したときの技術力ではこの距離のトンネル掘削ができなかったこと、勾配がきつくいためにこのルートを避けたと思われること、蒸気機関車による長大トンネルの運転は危険が伴うため避けたこと、が真相ではないかと。

・岐阜羽島駅
在来線と接続しない東海道新幹線の岐阜羽島駅。この駅も、政治駅ではないかと言われている。
当時の大物政治家、大野伴睦が圧力をかけて駅を設置したのではないかと。
これについては、いろんな説を載せているけど、結局は大野伴睦の影響力を利用した、影響力があったと言う点では政治駅と言えるのでは、と言う結論みたいですね。
もし、岐阜羽島駅を設置しなかったとしても、関ヶ原の積雪対策のためにどのみち駅を設置せざるを得なかったとは思うんですがね(東海道建設時には、関ヶ原の積雪が新幹線運行にこれほど悪影響を与えるとは思われていなかった。)

他、我田引鉄と言えば田中角栄で、田中角栄と上越新幹線、赤字ローカル線の話など、鉄な人でも鉄じゃないひとでも興味がありそうな話題が結構あるのでお薦めできるかと。

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